MCI(軽度認知障害)とは
大切なのは発症後の治療ではなく、発症前の予防です
認知症高齢者は462万人、その予備軍といわれるMCI(軽度認知機能障害)は400万人と想定されます。
年齢別に見た認知症の人の割合は男女を合わせると85歳以上で約4割となります。
認知症の原因疾患のうちアルツハイマー型認知症は約7割です。
アルツハイマー型認知症はアミロイドと言われる老廃物が脳に貯まることによって脳細動を破壊していくといわれます。
私たちが認知症と自覚する70歳頃の20年も前から、このアミロイドはたまり始め、認知機能が少しずつ低下していきます。しかし近年、このMCI期で適切な対策を行うことで、認知症の発症を遅らせたり、予防ができたりすることがわかってきました。
MCIスクリーニング検査とは
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを発見する血液検査です
MCIスクリーニング検査では、採血によってアルツハイマー型認知症発症の原因物質とされるアミロイドβペプチド を排除する機能を持つ3つのタンパク質(ApoA1、TTR、C3)の血中の濃度を測定し、MCIのリスクを判定します。
Aβと結合してその凝集や毒性を防ぐといわれています。
ApoA1はHDLコレステロールの主要な成分です。ApoA1 は抗酸化特性があり、神経細胞が引き起こす炎症を和らげることができるといわれます。そのため、ApoA1 の量の減少は、神経の炎症を悪化させる可能性があります。
TTRは、Aβと結合してそのシナプス毒性を抑制します。
TTR は4量体を形成しており、プレアルブミンとも呼ばれています。正確な働きは明らかになっていませんが、アルツハイマー病の他にも、うつ病や統合失調症などの精神疾患においてその量が減少することが報告されています。
補体にはミクログリアを活性化する働きがあります。
ミクログリアは神経の損傷に応答して活発に動き回り、死んだ細胞を貪食したり、修復を促進するための因子を遊離したりして、シナプスを維持する働きがあります。Aβはシナプス毒性があるため、脳内ではミクログリアによって貪食されて排除されます。この過程には補体C3の働きが必要です。
検査結果報告書
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを発見する血液検査です
検査結果はA~D判定の4段階評価となります。それぞれの判定によって、今後の予防法が示されます。
また、受診後のフォローのため、認知症予防に取り組むための別冊資料『認知症予防マニュアル』もご用意しています。
リスク値について
判定 | リスク値 | 説明 | |||||
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(MMSEあり) | (MMSEなし) | ||||||
A | 0.40未満 | 0.62未満 | MCIのリスクはほぼありません。 今後も健康的な生活を心がけましょう。 |
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B | 0.40~0.49 | 0.62~0.71 | MCIのリスクは低めです。 健康的な生活を意識的に習慣づけることで、MCIのリスクを抑えることができます。 |
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C | 0.50~0.59 | 0.72~0.81 |
MCIのリスクは中程度です。
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D | 0.60以上 | 0.82以上 | MCIのリスクは高めです。
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MMSEとは | 「Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)」という認知症スクリーニングテストのひとつで、10〜15分程度で簡便に行えます。 検査方法は、質問者から出される11項目の問題に1問10秒の制限時間で答えるテスト方式です。 |
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認知症予防のために
生活習慣病の予防が認知症予防のために重要です
バランスの取れた食事
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質の良い睡眠
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適度な運動
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趣味を楽しむ
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