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院長ごあいさつ

院長プロフィール

伊勢崎クリニック
院長 神澤 孝夫

学歴(高等学校入学以降)
1987年 3月 群馬県立前橋高校 卒業
1988年 4月 新潟大学 医学部医学科 入学
1994年 3月 新潟大学 医学部医学科 卒業
2001年 3月 新潟大学脳研究所脳神経外科学分野 博士課程 修了
学位
学位名 医学博士
授与大学名 新潟大学
取得年月日 2000年4月23日
資格

日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医

専門医・指導医

脳卒中学会専門医
日本認知症学会専門医・指導医

職歴
1994年 4月 新潟大学脳研究所脳神経外科 新潟大学付属病院 医員
1994年12月 水戸済生会病院 脳神経外科 医員
1996年 4月 新潟大学脳研究所脳神経外科 新潟大学付属病院 医員
2001年 4月 米国(NY) マウントサイナイ メデイカルセンター ポストドクトラルフェロー
2002年 9月 米国(TX) テキサス大学MDアンダーソンがんセンター ポストドクトラルフェロー
2004年12月 新潟中央病院 兼任新潟大学脳研究所 脳神経外科客員講師
2006年 9月 名古屋大学 環境医学研究所 生体適応・防御研究部門 脳機能分野准教授
2008年 5月 脳血管研究所美原記念病院 脳卒中部門 部長
2016年 4月 群馬県認知症疾患医療センター センター長 兼任
2020年 7月

2023年 4月

医療法人社団 群雄会 理事長
伊勢崎クリニック 院長 兼任
群馬大学大学院保健学研究科 非常勤講師就任

院長経歴:https://orcid.org/0000-0002-8165-5652

ごあいさつ

訪問診療を始めたきっかけは?

「在宅には不思議な力があります」という訪問看護師さんのことばでしょうか。
美原記念病院にて急性期の患者さんを診察していて、手術も治療も積極的にできないし、認知症や脳卒中後遺症で、食べられないという患者さんが高齢化社会に伴い非常に増えていました。点滴も抜いてしまう、ベットでじっとしてられない、リハビリもできない、どうすればいいか悩むケースが多々ありました。

そんな中、「家で介護したい」というご家族がおられ、退院カンファレンスを行ったのですが、そこに同席した訪問看護ステーションの看護師さんから「家に帰ればこの人はおそらく食べるし、介護にも抵抗しなくなります」と言われたのです。患者さんの視点に立てば、ここは家ではないという、環境変化が不安焦燥感につながっており、拒否、昼夜逆転につながっていたわけです。退院の運びとなり、私が主治医で訪問診療を行うことになりました。すぐ、救急で運ばれてきますよと病棟のスタッフは思っておりましたが、訪問当日まで特に連絡もなく、ご自宅へ伺うと、すっきりした、生き生きとした顔をされており、ごはんも好きなものを食べており、リハビリも頑張っているとのことでした。

もし、あの時、入院を継続し、経管栄養や向精神薬を使っていたらこの人はこんな人生を取り戻せなかっただろうと思い、興味を持ち始め、急性期の治療のひとつに訪問医療があると思いつきました。

実際に働いていて感じる訪問診療の魅力は?

訪問でも変わらず医療を行うのですが、患者さんがまず、会うのを楽しみにしてくれてるという点です。
また、ご家族から安堵の表情がうかがえるときでしょうか。
時に具合が悪いときに、発熱、脱水、電解質異常や、食べられなかった患者さんが、在宅で元気になっていく姿を見ていると、入院しなくても、環境を変えなくても、治っていく、このことがやりがいになります。

訪問診療の大変さは?

CT、MRIといった検査が難しい分、それらを、診察力、経験により判断しなくてはいけない点でしょうか。しかし、家族とのコミュニケーション、看護師、訪問看護師、薬剤師などの多職種との連携で、診断、治療のヒントが湧いてきます。
連携は非常に大事と実感します。

過去の訪問診療で印象に残っているエピソードは?

糖尿病を20年以上罹患しており、多発性の脳梗塞もある患者さんがおられました。脳梗塞の再発により入院となったのですが、嚥下が困難となりました。「点滴、経管栄養はしたくない、好きなものが食べたい」が願いでした。背景には冠動脈も閉塞しており、脳の血管は多発病変であり、足の血管もつまり始めているという、予後的には長くないケースでありました。がんの末期に対して、ご家族はイメージがつきやすいのですが、動脈硬化による血管の病気も同じように末期があります。ご家族と話し合い、今は意識がはっきりしており、家に帰っても実感できるとのことで、好きなマグロ、ウナギを家では用意し、退院し、それらを食べて、わずか数日後、亡くなったとうかがいました。ご家族が外来にご挨拶に赴いてくださり「主人は、私たちの言うことは聞いてくれなかったのですが、仕事はバリバリやり、一生分のお酒も飲んだでしょうし、好きなものを好きなだけ食べたと思います。夫らしい最期でした」とのお言葉でした。

訪問診療を行なっていく上で大切にしていることは?

一言でいえば「良心」だと思います。この「良心」は、時代、環境、歩んだ人生、取り巻く人間関係などで変わってきます。すなわち、それらを考慮しないと、我々の一見、優しいと思われる行為は、ありがた迷惑になってしまいます。
また、私たち医療側には、奇異に思えても、ご家族からすると、良心と思っての言葉であり、言動があるということです。この良心を考え、お互いの関係を築くことがこれから求められてくると思います。認知症の方がよいと思っていることが私たちにはそうは思えないこともあるでしょうし、また、伊勢崎地域は外国の方も多く、外国の方の介護も多くなるでしょう。違った価値観を認め合うことで、良心も変わると思います。

先生がめざされている訪問診療というのはどのようなことですか?

日本人の死亡原因の一位はがんですが、これからはがんを克服する時代がやってきます。そのがんの患者さんの次になる病気は、心、脳血管病であり、認知症であり、骨折であります。これまで専門性を追求していく医療からこれらの病気をすべて持ち合わせた患者さんが在宅医療に増えてくるわけです。私は、これらをトータルにマネジメントしていくのがこれからの役目と思います。

ほかにも大切にされていることがあれば教えてください。

大切なことは、事実に向き合うということであると思います。医療従事者は、起きた病態を、○○症候群、○○兆候というように自分たちのカテゴリーに収めようとします。しかし、そのことで安心してしまい、その後の変化に気づかないことがあるかもしれないと思います。
これは、○○病だから○○薬処方と、パターン化しないことだと思います。なぜなら、80歳、90歳の癌、心血管病、認知症に遭遇するのは医学にとっては初めてなのです。
これまでの教科書に当てはまらないことが起きてくるのです。

今後の展望についてお聞かせください。

多くの患者さんとの出会いを大切にし、この患者さん、ご家族、地域にとって何が大切なのかを、先ほどの良心に基づいて考え、地域に貢献していきたいと考えております。
私たちは、高齢化社会という医学のフロンティアにいることを自覚し、多くの方と連携し、訪問診療から、様々なエビデンスを発信していきたいと考えております。

ケアマネジャーの方へ

これからは、今までの病院の枠に収まらない患者さんが増え、どこの環境がふさわしいか悩むケースが増えるかと思われます。私はそれが、在宅、そして様々な施設になると思われます。大きなことは言えませんが、一人ひとりの人生観に寄り添った医療を訪問診療で、そして家にいるのと変わらない環境を施設環境で支えていきます。
一見、困難な事例と思われるものも乗り越えてまいりましょう。

訪問診療医をめざしている医師の方へ

私は、研修医の時の小児の脳腫瘍のケースを助けてあげられない、家で支えてあげられなかった経験から、脳外科研修後、4年間がんのMDアンダーソンがんセンターで研究に従事し、帰国後、臨床応用への研究を行い、美原記念病院では脳血管障害の臨床、臨床試験などに従事しながら、そして、認知症を群馬県認知症疾患医療センターで診てまいりました。訪問診療は総合診療ですが、それぞれの領域を極める姿勢は大切であり、そのうえでの総合診療と思います。学びたいことは、最先端のところを見てくる、そして、経験し仲間に入れてもらうコミュニケーション能力を付けること、アクティブであることが大切です。

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